福井県が誇る日本百名山「荒島岳(1,523m)」。別名「大野富士」とも呼ばれるその端正な姿は、冬になると真っ白なベールに包まれ、登山者に厳しい試練と絶景を与えてくれます。
今回は2月の厳冬期、勝原コースから山頂を目指しました。あいにくの曇り空ではありましたが、雪山ならではの緊張感と、日頃のトレーニングの成果を試すには絶好のコンディション。その一部始終を記録します。
目次
登山口の状況:早朝の勝原駐車場
冬の荒島岳は非常に人気があるため、駐車場の確保が最初の関門です。
- 到着時間: 午前6時頃
- 駐車状況: すでに10台ほどの先客。
- トイレはありますが、冬季閉鎖中で我慢しました。

下山した13時過ぎにはほぼ満車状態(路上駐車に近い形も)になっていたため、雪山シーズンに訪れる際は早朝6時までには現地の駐車場に滑り込むのが正解です。勝原駅近くの駐車場は除雪もされており、比較的スムーズにアクセスできました。駐車場は、中部縦貫自動車道の勝原ICを降りて2分ほどで到着するため、コンビニなどは事前に寄っておいたほうがよかったなと今回感じました。ガソリンスタンドも少し遠いです、、

旧スキー場の急坂:いきなりの筋肉への洗礼
スタートは旧勝原スキー場の跡地を登るところから始まります。ここは舗装路の上に雪が乗った状態で、見た目以上に斜度があります。今回先行パーティが多数いたため、ラッセルすることはありませんでしたが、ラッセルとなるとかなりの脚力と体力が必要になるかと思います。

重い雪を蹴り出しながら一定のリズムで登る動作は、まさに階段トレーニングそのもの。心拍数を上げすぎず、一歩一歩「お尻」で登る感覚を意識します。普段、階段昇降をしていればここは難なくクリア。
スキー場上部まで来ると、いよいよ登山道らしい樹林帯へと入っていきます。
ブナ林の静寂と「シャクナゲ平」
トトロの木のような巨木が並ぶブナ林に入ると、風が遮られ、雪山特有の静寂が訪れます。 この日の天候は曇り。青空は見えませんが、モノトーンの世界に霧氷が映え、厳冬期らしい厳かな雰囲気です。

「シャクナゲ平」に到着すると、目の前に目指す荒島岳の本体が姿を現します。ここから一度少し下り、いよいよ核心部の「もちが壁」へ向けてギアを入れ替えます。

白銀世界がとても綺麗です!
核心部:雪の「もちが壁」との格闘
荒島岳の代名詞とも言えるのが、この「もちが壁」の急登です。 夏場も厳しいこの場所は、雪が付くとさらに牙を剥きます。アイゼンの前爪をしっかりと雪面に蹴り込み、ピッケルを確実に打ち込みながら慎重に高度を上げていきます。雪庇も少しではありますが、発達しておりトレースがなければ少し気を付けるポイントになります。(日によってはかなり発達すると思う)

不安定な雪の斜面で片足に体重を預け、次の足場を探る。その一瞬の静止と踏み込みに、お尻の筋肉(大臀筋)の強さが不可欠だと痛感しました。片足の踏ん張りは日々のブルガリアンスクワットでかなり楽になります。やり方の解説してますのでぜひ!
曇り空で視界が制限される中、上を見上げても終わりが見えない感覚になりますが、それもまた楽しみとして進んでいきます、笑
荒島岳山頂:景色少し見えたかな

もちが壁を越え、前荒島を過ぎれば、なだらかな稜線歩きを経て山頂へ。 1,523mの山頂は強い風が吹き抜けていましたが、白い方位盤が雪の中から顔を出して迎えてくれました。
白山方面の眺望は雲に隠れて見えませんでしたが、雲の隙間から時折見える大野盆地の街並みが、遠く、小さく見えます。この厳しい雪道を自分の足で登りきった者だけが味わえる、特別な時間です。


下山:膝を笑わせないための技術
雪山の下山は、上り以上に筋肉を使います。特に勝原コースは急坂が続くため、一歩踏み出すたびに膝へ大きな衝撃がかかります。
ここで重要になるのが、ふくらはぎの粘りです。「カーフレイズ」で鍛えた筋肉が、着地時の細かなバランス調整を支え、膝への負担を分散してくれます。アイゼンが雪を噛む感覚を感じながら、最後まで集中力を切らさずに下りていきます。
今回の装備
2月の荒島岳は、曇りであってもその威厳は損なわれていませんでした。むしろ、厳しい気象条件の中で自分の体と向き合い、トレーニングの成果を確認できたことは大きな収穫でした。
- 今回の主要装備:
- 12本爪アイゼン(福井県は積雪量が多く、軽アイゼンでは危険。12本が必須となります。)
- ピッケル(滑落すると危険な箇所があるため、滑落停止用にあると良い)
- ハードシェル(シャクナゲ平までは樹林帯のため使用せず。稜線に出ると一気に風が吹き始めるためシャクナゲで着用するのが良かったかなと思います。下のハードシェルは駐車場から着用)
- ゲイター(駐車場から着用)
下山後のお楽しみ:温泉と山バッジ情報
荒島岳のタフな急登を攻略した後は、疲れた筋肉を癒やす時間です。勝原コース周辺で今回私が寄ったところを紹介します。
① 疲労回復に最高!「九頭竜温泉 あっ宝んど」
下山後の筋肉ケアのために立ち寄ったのは、「九頭竜温泉 あっ宝んど」です。 ここは勝原登山口から車で約15分〜20分とアクセスも良く、登山者に人気のスポット。
広い大浴場と露天風呂があり、特に「もちが壁」で酷使したふくらはぎと大腿四頭筋を温めるには最高のリラックスタイムになります。サウナや水風呂もあるので、温冷交代浴で血流を促進し、翌日の筋肉痛を最小限に抑えるのが私流のリカバリー術です。今回寄ったところはこちらです。
- 施設名: 九頭竜温泉 あっ宝んど
- 特徴: お風呂の種類が豊富で、食事処も充実しています。
② 登頂の証!山バッジは「道の駅 越前おおの 荒島の実り」で
登山の記念に欠かせない「山バッジ」。以前は勝原駅などでも販売されていましたが、現在は近くの「道の駅 越前おおの 荒島の実り」で購入するのが確実です。
2021年にオープンしたばかりの非常に綺麗な道の駅で、バッジ以外にも大野の名産品やモンベルショップが併設されています。雪の荒島岳を無事に登りきった自分へのご褒美として、バッジをゲットしました。
アルプスを目指す方、百名山制覇を目指す方様々な方がいると思います。日帰りで行けていい練習になる山ですのでぜひ登頂してみてください!次は、もっと高く、もっと難しい山頂を目指して。 皆さんも、最高の景色を見るための「準備」を一緒に楽しんでいきましょう!




